ネームタンク講師で新人漫画家の馬場彩玖先生がついに連載デビュー!
デビューから新連載、ネームタンク講師の経験について、いろいろ聞いてみました!
一貫して「萌え」が大切だと語る馬場先生。どのようにして「萌え」の重要性に気づいていったのか、ぜひご覧ください!
「血みどろの中のピュアな感情」萌え
──新連載おめでとうございます! 『僕が妹を殺すまで』…すごいタイトルですがどんなお話ですか?
馬場:お互いに依存しあう兄妹が繰り広げる、ドロドロ恋愛サスペンスです。殺人を犯す妹とそれを目撃してしまう兄…という、割と…かなり人を選ぶインモラルな話ですね。

新連載『僕が妹を殺すまで』
──新連載、馬場先生の穏やかなお人柄からは想像がつかないとても意外なテーマでした!
インモラルなシチュエーションの中に、「こういう感情が描きたい!」「ここが萌える!」という強い動機があるのでしょうか。
馬場:「血みどろの中のピュアな感情」に萌えがあるみたいです。
『白夜行』『容疑者Xの献身』、『金田一少年の事件簿』『犬神家の一族』とか映画『レオン』なんかもその枠かな…。
「世界のすべてを敵に回してもお前を守る」みたいなのにもグッときます。
──「血みどろの中のピュアな感情」を描くにあたってキャラクター作りで意識したことはありますか?
馬場:キャラクター作りに関しては、ネームタンク式の考え方を大いに参考にしています。受講以後、キャラの〇〇(ネームできる講座秘伝ワード)は何処にあるのだろうと意識するようになりました。
あとはもう、自分の萌えに忠実に、ですね。
ネームタンク講師の経験から実感した「萌え」の力
──馬場先生にはネームタンクの講師としてもしばらくご協力いただいておりましたが、どのような経緯で講師になられたのでしょうか。
馬場:ごとう先生がネームできる講座の受講者向けメルマガで、ネーム添削のお手伝いを募集されていたので応募してみました。
最初は遠隔での添削のお手伝いのみでしたが、講座のサポートや個別相談の講師もやってみないかと声をかけていただいて。
本当に力不足100%という気持ちだったのですが、先生方も受講者の皆様も本当に優しく、助けられながら精一杯やらせていただきました。
──講師をやってみて得られたものはありますか?
馬場:皆様のネームを拝読するだけでもとても勉強になりましたし、刺激をいただきました。
中でも、萌えの重要性は再確認しました。
作者の萌えや描きたい感情が詰まった作品は本当に輝いて見えるんです。
個別相談などで修正案を話し合う際も、萌えや「どこを一番描きたかったのか」を中心に考えるとうまくいくことが多かったように思います。

ネームタンク受講時の作品
また、編集さんとの相性問題も目の当たりにし、ちょっと図太くなったかも知れません。
拝読したネームで
「こ…これは…っ手直しをしたらとんでもない名作になるのでは…!?」
と感動に震えそれを作家さんにお伝えすると
「担当さんに全没って言われたものなんです」
ということが何度もあったので…。
一人の編集さんにダメだと言われても「相性のせいだ」と思って良いと思うんです。
皆、東西さんに相談して…!
※漫画ソムリエ東西さんの「持ち込み先・進路相談」では自分の作品に合った編集部を紹介してもらえます。
──講師の仕事の中で苦労したこと、失敗したことはありますか?
馬場:受講者の方のやりたかったこと、萌えを尊重するよう常に気を付けました。
ですがついひとりのオタクとして高ぶり、受講者の方にとってはそれほど重要でないポイントを「ここ最高に萌えます!」とお伝えしてしまったことがあって……講師にそう言われると、「ここは残した方が良いのかな」と思ってしまいますよね。
読切だと特に削らなくてはいけないものが多い中で、他人の萌えまで入れ込むのは難しく、時に芯がブレてしまうことすらあります。
いち読者の感覚で受講者の方を惑わせてしまい、反省しました。
世界観への萌えをモチベーションにしてデビュー
──馬場先生はどのような経緯で漫画家としてデビューされましたか?
馬場:読切デビューは週刊スピリッツに掲載された、19世紀ヴェネツィアを舞台にしたゴンドラ乗り達のお話でした。今でもお気に入りの作品です。

デビュー作の読み切り
それ以前は高校生の恋愛などをよく描いていたのですが、中々振るわずでした。
アシスタント先の先生に相談する中で、世間知らずで視野の狭い自分が感性だけで描いていてはダメだと言うことになって。
世界を広げようということで、舞台を19世紀ヴェネツィアにしました。慣れない調べものに四苦八苦した記憶があります。
自分の外側にある世界を意識するきっかけになりました。
──「自分の外側にある世界」すごく大事ですね。
無限に広がっている選択肢の中で、どのようにして「この時代のここを舞台にしよう」と決めますか?
馬場:考え方が二つあると思っていて…
ひとつは、好きな舞台があって、そこで魅力的に映る物語を構成する考え方。
もうひとつは、描きたい感情があって、それが一番引き立つ舞台を探す考え方。
私はどちらかというと前者です。
後者に憧れてもいるのですが、とにかく私は萌えないモノに長く携われない質で。
読切デビュー作の”19世紀ヴェネツィア”は、確固とした「これが描きたい」というものがない状態で舞台を先に決めました。
アシスタント先の先生とご飯の席で
「外の世界って言われても~」
「じゃあ、行ってみたい国を強いて挙げるとしたら?」
「ヴェネツィアですかね。ヴェネツィアンマスクとか、ときめきます」
「じゃあ次回作の舞台はヴェネツィアにしな!」
と……。
そんな行き当たりばったりでも最後まで形にできたのは、「このヴェネツィアの街並みが描きたい」という萌えがあったからだと思います。
世界そのものに萌えていたので、モチベーションが下がりにくかったように思います。

”19世紀ヴェネツィア”の舞台
「最高じゃないですか」二つ返事で初めての連載へ
──スピリッツでの読切デビューから、今回の初連載に至るまでの経緯を教えてください。
馬場:週刊スピリッツでデビューしてから、連載に向けたネームに取り組んでいたのですがなかなかうまくいっていいませんでした。
その時にネームタンクを思い切って受講したのですが、何故うまくいかないのか…その原因が1日目の講座で解き明かされ、衝撃を受けました。
受講時のネームは、「天体観測」が好きな気弱な少年が、「一目惚れした少女」と再会する為に「箱根駅伝」への出場を目指すというお話だったのですが、要素が多すぎて「天体観測」と「少女」のどちらが大切なのかよく分からなくなってしまっていたんです。
キャラの〇〇(ネームできる講座秘伝ワード)という考え方を知ったことで、原因がはっきり理解できました。
解決策は分かったものの、大幅なネーム直しが必要な中で私の中で作品に対する萌えが減っていってしまったんです。
それでは連載は難しいということで、その後アプローチを変えて読み切りとして描かせていただきました。

読切『風を斬る』
その後、自分が萌えることができる新たな連載のネタを探っていたところ、以前担当して下さったサンデーGXの編集さんに一緒にやらないかと声をかけていただいて。
「『最愛の妹はサイコパス』ってネタ、どうです?」
と振られて、
「最高じゃないですか」
と二つ返事で進めていくことになりました。
最後に
──今後の意気込みを聞かせてください!
馬場:初めての連載でついていくだけで手一杯なのですが、そんな中でも「こういうのが良いと思うんだよ」というものを描けていけたらと思っています。
──漫画家志望者の方に向けてメッセージをお願いします!
馬場:「ベテランの先生方も同じ媒体に載る中で、新人が技術だけで競うのは無理の有る話。唯一勝負になるのは熱量だけだと思った方が良い。」
昔アシスタント先の先生に言われた言葉です。
勿論技術も大切ですが、迸る想いがあってこそそれも磨かれるのかなと思います。
萌えを描きつつ、新しい萌えを探していけたら素敵だと思います。
──馬場先生、ありがとうございました!

馬場彩玖icon-twitter
まんが王国にて『僕が妹を殺すまで』先行配信中です。
よろしくお願い致します。
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— 馬場彩玖 (@bebesowaka) 2018年12月3日
『僕が妹を殺すまで』まんが王国にて12月4日より配信開始となります。
互いに依存し合う兄妹が繰り広げるドロドロ恋愛サスペンスです。
よろしくお願い致します! pic.twitter.com/ntL30tEFmo
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— 馬場彩玖 (@bebesowaka) 2019年2月11日
本日2月12日、こちらで2話目が公開となりました。
兄と妹が依存し合う病んだりドロドロしたりなお話です。
無料で読めますので、どうぞよろしくお願い致します🤲https://t.co/wvpcPieCaz pic.twitter.com/gsEDbo2btv
