こんにちは!東京ネームタンクのごとうです。
今回は「褒める」テクニックについて。これが「漫画を描き切って一作仕上げる」上でかなり大事だと思っていてそのことについて書こうと思います。
最近よく「ごとうさん褒め上手」と言ってもらえます。褒め上手だったのか僕は…!
僕の感覚としてはあんまり褒めてる感覚なくて、ごく自然なスタンスとしてやっています。そもそも作品を作るっていいとこ伸ばしていくことなので、褒めるというか可能性の芽に水を与えて育てるのはごく自然なことなんですよね。
◎そもそも褒めないとどうなるか
僕は編集部にいたのも長かったので打ち合わせの時間を長く費やしたこともありました。永遠と続く沈黙の後、こんなアイデアどうですか?とチラッと芽が生える。その瞬間「いやぜんぜん面白くない」と言われて、その芽が叩き潰される。そしてまた長い沈黙…これでは何度繰り返しても作品ができあがるはずがありません。だんだん地面が硬くなり芽さえ生えなくなるんですよ…
この貴重な芽を育てること、はもちろん東京ネームタンクに来てもらって一緒に取り組むこともおすすめなのですが!自分でできるようになったらなおいいなと思ったので、そのポイントをお伝えしようと思います。自分を褒めるの苦手な人はぜひ読んでみてくださいね!
気をつければすぐできる!完成までのモチベーションの高め方。
そもそもどこを褒めていいか分からない!
どこを伸ばしても漫画になると思っていますが、たとえば絵、コマワリ、セリフなど技術を伴うものに関しては自信がないうちはなかなか褒める気にならないかもしれません。絵も苦手だし演出も苦手…本当に面白いのかなこれ…とネガティブになってしまってモチベを失ってしまう。
技術系の自信はまずは後回しです。技術は「描き続ける気力」が勝っていればいずれ良くなっていき、自信に繋げられると思います。ですのでまず大事なのは「描き続ける気力」を生み出す「自分の作品を気に入る力」です。
ではどこを気に入ればいいのか
その答えは…「萌え」です。東京ネームタンクにおなじみの方はもうよく分かっていることですね。
自分自身がその作品のどこに萌えているのか。もう一度思い出し、確認してください。「萌え」は多様です。
幼馴染の二人、スーツの紳士、天涯孤独の男、口の悪いロリ…
東京ネームタンクではあなたの「萌え」を重視します。夏に開催した臨海移動教室では「萌え」をビンゴにしてもらったりしました。「萌ビンゴ」も登場する「臨海移動教室まとめ」もご覧ください。
個性的な「萌えマックス」
一番最初に描きたい感じたい読みたい…と思う気持ちってシンプルな「萌え」から始まることも多いのではないでしょうか。そしてその「萌え」にこだわって欲しいんです。「萌え」はとても個性的なものなんですね。同じ「指先萌え」でも「私はこういう指先にもっとも萌えを感じる!」という自分の中の「萌えマックス」があるはずです。
たとえば僕はわりと幼馴染の関係性って萌えるのですが、赤ちゃんの時から家が隣同士だったのが今は高校生になり「ほらネクタイ曲がってるよ!」「わ!恥ずかしいからやめろよ!」的なそして周りからも「朝から夫婦漫才かよー」「ちがうよこいつはただの幼馴染で…!」みたいなのすごいいい…。ね、気持ち悪いでしょう?…じゃなくて個性がありますよね?
いろいろ幼馴染もパターンあると思うんです。昔は幼馴染だったけど今はちょっと距離ができてしまった…とか、そっちのほうが萌える人もいるでしょう。自分がもっとも萌えるパターンやシチュエーションが見えてくれば、そこが「褒めポイント」です。「おっ!いい萌え入ってるぞ!」と褒めてあげてください!
「萌え」は誰にも否定できない
なぜ「萌え」を褒めポイントとすると良いかというと、この「萌え」は誰にも否定できないからです。だって事実としてここに自分が萌えている気持ちがあることを、他の誰が否定できるでしょう。僕が「幼馴染萌えー!」ってなっていたとして、それを誰かに「いやそれは萌えてないよ。」とか言われるのは意味がわからなすぎる。現実を塗り替える能力者か…!
編集部に行って、編集者によっては「面白くない」と言われてしまうこともあると思います。そうすると、それが世界の判断と思ってしまいがちです。この作品はみんなにとって面白くないんだと…しかしそうではないんですね。なぜならただ一人だとしても、少なくともその作者にとっては、【この作品に「萌え」がある、つまり楽しめて、面白いポイントがある。】のだから。
あくまで「面白くない」と思っているのは、その編集者「個人」です。その編集者はあくまで「(私は)面白くない」と言っているんですね。としたらここはもう本当は1対1の戦いなんです。「私は面白くないと思う」VS「私は面白いと思う」これならまだ対等に戦えると思いませんか?
本当はその面白さを引き出す(つまり編集する)のが編集者の仕事だと思うんですが、戦いになってしまう場合はこのことを思い出して欲しいです。
なかなか難しいとは思いますが「え?面白くないんですか?」くらいの勢いでいきたいですよね。※これは僕が前にある作家さんに聞いた編集者攻略法です。
また素直に「こういう萌えが描きたいんです。」と打ち明けてしまうのもいいかもしれません。
「クライマックス」にも「萌え」を
こちらは講座内でも詳しく解説していますが(クライマックスはネーム構造の一要素です。)クライマックスに向けて、伝えたいことを伝えるべく物語は進んでいきます。つまりゴール地点と捉えてもいいかもしれません。このクライマックスに「描きたいもの」つまり「萌え」を入れておくと、ニンジンを目指す馬のようにそこまで熱意を持って描き切ることができます。
幼馴染萌えだったら、「幼馴染が初めて異性としてちょっと意識する瞬間」とか、クライマックスだからこそ際立つ「萌え」を入れられると良さそうです。
この場合たとえば「スーツ萌え」「指先萌え」とか少しシチュエーションに依らない萌えの場合どうしたらいいか迷うかもしれません。こういう萌えは絵に依るので絵に凝りましょう!クライマックスのシーンのスーツを!指先を!一番気合い入れてカッコよく描く!痺れるほどの思いを乗せて!もしかしたら最後に描くのがいいかもしれませんね。(モチベの意味で)
まとめ
今回紹介した通り、まずは今取り組む作品の「萌え」がどこにあるのかを確かめると、作品を最後まで完成させるモチベーションが保たれます。そして経験則として萌えが存分に描かれた作品は間違いなく面白いです。
1. 技術はあとまわし!「萌え」を見つける!
2. さらに自分だったらこれが一番萌えるという「萌えマックス」を見つける
3. 自信を奪ってくる者たちとも「萌え」の力で戦う!
4. クライマックスに「萌え」を入れておくとモチベの持続に効果的
「萌え」はネーム構造の要素というよりは描き上げる「エネルギー」のようなものなので、構造を組み上げるときに忘れがちです。注意して自分の漫画制作に生かしてくださいね!