白泉社「花とゆめ」でデビューし、読切を掲載している永塚未知流先生は現役大学生!
大学生にして少女漫画家としてデビューするまでの経緯を語ってくれました!
独特のネームの作り方から人生観まで……漫画家志望者の学生は必読です!
前置き
ホントは少年漫画を描きたいんですよね私。かっこいいしハラハラするし、今も実は少年漫画描きたいなあって思ってます。でも中学生の時、とにかく見よう見まねで少女漫画を描いていたこともあって、そのうちに“気持ち”を描くことが得意になったんです。あのとき13、14歳くらいだったかなぁ。親に内緒で出版社に持ち込みとか行ってたんですよ。新潟からわざわざ。選外しかとったことないのに。楽しかったんですよ。はは。当時私の行動は理解されませんでしたけどね。
ネットにハマったり飽きたりで、しばらく漫画は描かなくて、19歳になってやっと漫画を再開したんです。10代で誌面に名前載ったらかっこいいよなーって。少年誌に45pくらいの漫画を持ち込みました。本命の雑誌で「素直に少女漫画描いたら?」って言われちゃいました。無理して少年漫画を描いたのがバレたんですね。
丁度いいことにリアルタイムで恋愛(失恋笑)してたので自分の経験を盛りに盛り込んだ少女漫画16pを描きました。
少年漫画のようなかっこよさはないかもしれないけど、ハラハラドキドキもしないかもしれないけど、面白いじゃないですか。気持ちって見えないし、人って嘘つくし、でもほんとのトコどうなのって。お前の知らないところで私こんな思いしてたんだぞ(怒)!って。はは。もしこれが受賞して掲載でもされたら相手への最高の復讐だなって思ってたらホントにしちゃいましたけど。笑
その後2回受賞してその年の冬にデビューしました。大学3年生で授業もありましたが学校のことにはなるべくエネルギーを使わず、漫画の方が楽しかったので友人と遊ぶこともなくなっていきましたね。
今4年ですが何回か学校辞めようと思ったんですよ。漫画描きたいし、そもそも学校っていう組織が嫌いだし、(やりたいことを見つけている人からしたら学校ってすごくストレス溜まる場所だと思います。)なかなか理解されませんよね。こんな田舎じゃアシスタントもいけないし、でもまあ学生もの描くことが多いのでネタを探す場として考えれば使えないこともないか、と。まあ今はほとんど行ってないですけどね笑
行動力と作業量
随分と長い前置きになりました。漫画を描く上で一番大事なネームの話をしたいと思います。
ネームタンクでごとうさんに「あなたのネームのやり方は真似したくても真似できないです」って言われました。はは。そうなんですかね ・・・だそうなのでネームを描いている時、私の思考はどうなっているのかをここで紹介してみます。(役に立つかは分からないですけど・・・というか私自身わかってるのかも謎ですが)
とりあえず思い立ったら即行動なんですよね 私。昔から。やってみたいと思ったらとりあえずやってみる。持ち込みに行きたいと思ったら行ってみる笑「ああなったらどうしよう」とか考えたところで仕方ないので「そうなってから考えよう」って思いながら生きてます。むしろ「あわよくばこうなったらいいな」って思うことの方が多いです。だってホントに何か起きるかもしれないじゃないですか!
話つくる時も一緒です。描きたいものが一個決まったらもうネームにします。「こんな気持ち描きたいなー」とか「こんなセリフ言いたいなー」とか「こんなシーン描きたいなー」「こんなキャラ描きたいなー」etc…だけでネームを描き始めます。「つまらなかったらどうしよう」ではなく「面白くなるかもしれない!きっとこれは面白くなる!」って思いながら。(面白くなかったらボツにすればいいんです笑)そうやって流れに任せてとりあえず最後まで描ききった後に足りない説明、エピソード、あと物足りない場合はキャラ付けもあとからだったりするかな。これを全部ネームでするんです笑
もちろんプロットからしっかり練っていく人の方が多いと思いますし、その方が無駄な労力も使わずに済みます。間違いなく。絵を描くってものすごいエネルギーですから。やり方は人それぞれですし自分に合ったやり方を見つけてほしいと思います。たまにプロットかいてみることもあるんですがネームにしていくうちに結局話が変わってしまうんですよね。じゃあもうかかなくていいやって思って。笑 だって毎回プロットで考えたことよりもっと面白いことがネームで起こるので。はは。たぶん私はプロットでやる作業をネームでしてるんだと思います。それだけの話です。でもたぶん私はかなり手が早いので多い作業をもそんなに作業してないように見えているかもしれません。そんなことないですよ。ちゃんと毎回ものすごい量描いてますよ。
最近はなんとなくメモ程度にキャラ表みたいなものを描いたり描かなかったりですぐネームに入ります。ネームに正解なんてないんですから、自分で描いてるものなんですし、自由に変えて自由にやめていいんです。これが「行動力と作業量」の正体です。描く前からああかな、こうかなって考えても仕方ないじゃないですか。描いてみて考えればいいんですよ。だめならそのとき考えればいいんです。
少年漫画を描いてみたんです。描けなかったんです。
少女漫画を描いてみたんです。そしたら描けたんです。しかも描きたいことを。
行動すること、そしてそれを変える作業を怖がらないでください。
夢を諦めて叶えた人はいませんから。とりあえず描いてみてから考えましょう。ネームも人生もね。
最後に
これは最近カウンセラーの方に指摘されて気づいたのですが、私は昔から人に理解されなくて苦しみながら生きてきた節があったみたいです。ここまでで何度か理解されてこなかったと書きましたがここの伏線です笑指摘されるまで全く気づきませんでした。自分がそんなに苦しんでいたことに。その時は理解されないことを原動力にして面白がっていた気さえします。反骨精神というか。
しかしどうやら私は理解されない苦しみをわかってほしくて漫画を描いているみたいです。だから“気持ち”を描くことが得意なのかもしれません。
“理解されない”でもそれでいいんだと思います。“理解されない”から“伝えたい”んです。
漫画を描いている人なんてみんな変わってますよ。わざわざ進んで茨の道を歩もうとしてるんですから。漫画が描けるってことはそれなりに器用に上手く取り繕いながら人と社会と付き合っていくことも出来ると思うんです。客観的にはわかってるんですけどね。
でも感情ってそんな簡単じゃないじゃないですか。全部わかった上でそれでもやってやりたいじゃないですか。一発かましてやりたいじゃないですか!
人と合わなくても理解されなくても自分には自分の考えがあるし、迷いがあるし不安があって抱えてるものがあって。それを伝えるツールとして漫画を選んでるんだと思います。
たくさんの漫画家さんと会って話しているうちにやっと理解してくれる人たちと巡り合えたって思えました。みんな何かしらを抱えているから漫画を描いているのかもしれないと。
あなたが抱えているものを私まで伝えてくれるのを待っています。
永塚未知流
そんな永塚先生の最新作「ブレーキブローカー」が掲載される「ザ花とゆめ」は7/25(火)発売です!
本日発売花とゆめ15号の懸賞イラスト担当させていただきました〜
— えーづか (@McrEizk) 2017年7月5日
そして予告も出ていたのでお知らせです。7/25発売ザ花とゆめにて読み切り掲載予定です。よろしくお願いします〜 pic.twitter.com/TMRbaMpjvO
永塚先生が描いてくださったネームタンクのルポ漫画はこちら
【漫画】褒められたい!自信をつけてネームを描く!/永塚未知流先生
