ネームタンク受講者で、マンガ新連載研究会でもお世話になっている神谷ユウ先生の
初連載『呪菓のグレーテル』がニコニコ静画・別館月マガにて開始しました!
連載ネームが通るまで苦労されたという神谷先生。デビューまでの経緯や漫画制作のこだわりを訊いてみました!
私「担当さん、いつから連載始まりますとかまだ言っちゃダメですか?」
— 神谷ユウ@5/18から連載開始 (@riif1635) 2018年5月10日
担「いいですよ」
私「いいの!?公式発表まだじゃないですか!」
担「いや、もう来週じゃないですか」
ということで。。。
5/18よりニコニコ静画・別館月マガにて「呪菓のグレーテル」連載します。よろしくね。 pic.twitter.com/D5bCB7epVe
━━連載開始おめでとうございます! 新連載はどんなお話ですか?
ざっくり言いますと「魔女に幸せを取られたおとぎ話の主人公達が、魔女を倒して奪われた幸せを取り戻す」お話です。
━━面白そう! 具体的にはどんな「萌え」を込めて描かれましたか?
ビジュアル的にいえば、セーラー服と機関銃みたいな、フリルいっぱいの洋服を着たり、恋人に思いをはせたりする可愛い女の子達が、それぞれの武器を持って戦う様子を描けたらなと思います。
マルガの場合、いつも片手に何かしらお菓子を持っていて、敵と対面した時にお菓子を銃やらナイフやらに変えて応戦します。黙れば人形、動けば兵器みたいな。
そのうちでっかいモーニングスターや鎌やらを持たせる予定です。
いいですよねモーニングスターって・・・朝の星って響きが爽やかなのにただの鈍器。それを小さな女の子がブンブン振り回すんです・・・やだかっこいい。
みたいな感覚ですね(笑)
キャラとしてだと、マルガとハンスは私の好きな兄妹ものですね。
結構無茶苦茶する妹に、小言を言いながらもフォローする兄。
口より先に手を出す妹に、戦えない分状況の説明をする兄。
マイナスの感情にしか表情筋が動かない妹に、記号化された顔でよく笑う兄。
片方欠けてる分をもう片方が補う・・・二人で一つ感。
タリーア姫と王子は王族でありながら、ただのバカップルとして描きました。
見たこと無い王族の心情を無理してひねり出すより、スーパーの若夫婦の方が「リア充爆発しろ」って感想言えるし(笑)
なんかそんな感じで、おとぎ話のキャラとはいえただの人間感を描けたらと思います。
━━熱い萌えが伝わります! キャラクターを作る時のこだわりはありますか?
キャラクター・・・ですか(汗)
ネームタンクの講義の中でもあったキャラの作り方がとても参考になります。
皆さま是非ネームタンクへ!
ネームタンクの講義で気付いてから、映画でそれぞれのキャラの「好きな物」を探すようにしています。好きなものは武器にもなるし弱点にもなるので。
「守りたいものがあるから強くなれる」とか「そんなものがあるからてめぇは弱くなったんだ」とか、聞くだけでフフッてなります。
それと最近では特定のキャラの会話とか、長期的に一緒にいるキャラ同士の日常会話とかを研究しています。演出とか台詞回しとかですかね
。 千と千尋の神隠しの千尋を見送るハクの手の切なさとか、チャーリーとチョコレート工場の、十数年ぶりに再会した親子が抱きしめるとことか、シャーロックホームズの、面倒おっさんホームズと苦労人ワトソンのバディっぷりとか・・・どうしてこの人達こんなに萌えるの!を日々探して、それをなんとか自分に組み込めたらなと。
━━ネームタンクの宣伝ありがとうございます(笑)
ネームを作る時のこだわりはありますか?
ね、ネームですか・・・っ(汗汗)
アシスタント先の先生にネームを見てもらい、同じ内容でも読みやすくなるという術を聞いてから、なるべく読みやすさに気を付けています。
導入部分がホントにヘタクソなので、映画の「チャーリーとチョコレート工場」や「シャーロック・ホームズ」の冒頭3分を10回以上見て、どうしたら客をこっちの世界に連れて行けるかを考えていたこともありました。
頭にスッと入れば、面白さやキャラの感情もスッと入ると信じている・・・ので。
最近だと、説明は簡潔に・演出はじっくりと、を目指しています。
おかげでネームの提出が遅いんですが(汗)
━━導入の研究面白いですね! 読みやすくするために具体的にどんな方法がありますか?
あんまり偉そうなことは言えないのですが・・・・アシスタント先の先生によく言われたのは「導入部分はなるべく順番に丁寧に少しずつ情報を出す」ことでした。
新人の作家は読者にとって「初めまして」の関係。どんな世界かを説明するのに文字での説明はなるべく入れないことにしています。
おとぎ話には終わりがある→ピーター・パンや蛙の王子様、皆HAPPYENDで終わってるよね?→でもお話はまだ続いてるんだ→では例題としてこのお姫様と王子の場合・・・・という感じでしょうか。
ファンタジーものは現代ものに比べて読み手にノイズを多く感じさせてしまうので、1P目の最初の一行で「ここは火を噴く竜が多く住むファンタジーランド」と初めての情報が山積みなのは控えるようにしています。
出会って一分の相手に「よぉ!俺太郎!俺に家族5人いるんだ!!それに犬がいてポチっていうんだけど犬って意外と笑ったり怒ったりするんだぜ!!そんで俺のかーちゃんが云々」と言った内容を10秒で話されると口塞ぎたくなりますから。
皆がどこか見たことあるものや知ってることから始めて、焦らずゆっくり小出しにしつつ、こちらへ招き入れることを心がけています。映画シャーロックホームズやマスク、チャーリーとチョコレート工場は本当参考になります。
━━なるほど……太郎、キャラ立ってる気もしますが(笑)
映画の他に、影響を受けた漫画などはありますか?
鋼の錬金術師、神風怪盗ジャンヌ、CCさくらはアニメを凄く観てました。今回の新連載の作品は多分ここら辺からきてると思います。
ハガレンは特に自作小説書いてた覚えが・・・
━━やっぱりもともとファンタジーがお好きなんですね。
いつから漫画を描かれていますか?
漫画家を目指したきっかけがあれば教えてください。
いつから・・・
正直言いますと、小学生の頃に簡単な4コマ描いてたくらいで、高校生の辺りまではアニメを作りたい方が強くて、漫画家になりたいと思ったのは大分後でした。
その頃自主制作アニメなんかがマイブームで、自主制作アニメを公開しているサイトを駆け巡ったり、新海誠のDVDやらを買ったり、デリーターが出してたアニメ制作ソフトでアニメ作ったりしてました。
で、高校卒業する頃に漫画の専門学校の説明会なんかに行って、「貴方は金のなる木になれる!」と騙されて東京の専門学校に入学して、そこで初めてコマ割りだのネームだのを学びました。
━━「金のなる木」すごい謳い文句ですね。 専門学校入学からデビューまではどんな漫画をどのくらい描いていましたか?
えーとですねぇー・・・・・(滝汗)
専門学校入学して2年間で4本しか描かなかったですね。今考えると半年に一本って一体何してたのやらと猛省ものです。
専門通ってた頃のその4本と、今までに原稿にしてきたもの全部合わせても10年間で14~5本しか描いてないです。内投稿作は9作くらい。(今回の連載作品は2年前からの久々の原稿なのでちょっと色々と大変でした)
内容としてはほぼファンタジーものです。竜がいて街に領主がいて・・・みたいな100%創作の世界ではなく、現代の片隅にあるちょっとしたオカルトくらいのものが多いですね。
3年前まではわりと軽い内容のものを軽く描いてたのですが、週マガの担当さんに出会ってから、笑顔は普通にそのまま描いてるけど、怒りや悲しみの表情なんかは振り切るようになりました。
「俺は王子になれない」→「弱虫モンスター」が覚醒時期です(笑)
それまでずっと奨励賞続きだったのを打破するきっかけになってくださった当時の担当さんには本当に感謝しております。
ネームタンク受講してるのにネーム見せてくださらなかったけど(笑)
━━担当さんもネームタンク受講者なんですね!
神谷先生のデビューから連載までの経緯を教えてください。
デ、デビュー・・・(ナイアガラ滝汗)
誌面に自分の漫画が載ったことはありますが、大昔だしデビューとは言い難いので割愛します(笑)
転機が訪れたのは、今回の連載の作品に繋がった佳作を取った作品「To Be Continued」(以下TBC)でした。
第34回 月刊少年マガジン・マガジンR 新人漫画賞 グランドチャレンジ入賞者発表
TBCのプロットに入るまでに、新人賞で連続3~4回は奨励賞に入ってきてから「これ連載用にして、そろそろ連載会議に出しましょうよ」と担当さんに言われてたのを「名誉欲しいからあと一回新人賞に出しましょ」と言って最後の新人賞向けとして制作しました。
なので、新連載(仮)のつもりで描いたおかげで、審査員の先生方にもとても好印象だったのか、雑誌やネットに載せるコメントとは別に「この子は連載させてあげて」と審査員お二人共仰ってたと、副編集長に聞かされました。
副編集長が、ニコニコ静画限定の月マガの漫画を出したい・・・出すなら女の子が沢山出てくる奴・・・という願望と、TBC出した時期が丁度同じタイミングだったので、運が良かっただけですね。
━━連載ネームが通るまで大変だったと伺いました。 ネームで特に苦労した点はありますか?
ネームの苦労・・・・色々と愚痴になりそうですが・・・そうですね・・・
プロットで「王子かっこよくなりましたね!」と言われ、ごとう先生に「王子かっこいいですね!」と言われてたネームを「王子全部とっぱらってください」と全没くらったことでしょうか。
あとは、今回の新連載1話のネーム、実は2年前に既にOK貰ってたもので、去年いっぱい描いてたネームは最初から没前提で無意味に描かされて・・・おや?こんな時間に客とは誰かな
━━全没にもくじけず、チャンスを掴むまで続けてこれたのはなぜでしょうか。諦めようと考えたことはありますか?
一回目の連載会議に落ちた時に「もう一度雑誌の会議に出してダメだったらニコ静で連載させますよ」って話自体は既に来てたんですが、全没を食らった直後の一週間はすんごい凹んでましたね。
アシ先の先生からは「兎に角今は話のわかる人に愚痴るといい」と言われて(脳科学的にも溜め込まずに口に出すのは効果があるんだそう)しばらくは色んな人に話をしまくりました。プロットにOKしたくせにー!って。
その時にごとう先生にも話を聞いていただいてました(笑)
気持ちが落ち着いても新しくネームに取り掛かるまでにまた時間はかかりましたが、周りから「やめるのは今じゃない」と言ってもらえたのと、漫画をやめた時の自分の姿を想像できなかったから続けられたんじゃないかと思います。
その時に描いた新しいネームも結局没で、最初の会議に出したネームが採用されるという惨事になってしまい、こうなったら作品の中で見返してやるかという心情の元、作業しております。
━━それは本当にお疲れさまでした……! 本日は貴重なお話ありがとうございました!

神谷ユウ icon-twitter
5/18ニコニコ静画、別館月マガにて「呪菓のグレーテル」連載開始します 過去作品はこちらから http://pixiv.me/myura
度重なるネームの修正にも決して諦めず、自分の萌えを貫いた神谷先生の新連載『呪菓のグレーテル』はこちらで読めます!
【別館月マガオリジナルの新連載スタート】
おとぎの国の乙女たちが血塗れて戦う、ダーク・メルヘン
誰もが知る「童話」の数々が交差する世界。
主人公たちは、幸せに暮らしていた……はずだった。
奪われたハッピーエンドを取り戻すため、ヒロインたちは絶望に抗う--!!
http://seiga.nicovideo.jp/comic/34659?track=official_trial_l2
絵入れるの忘れてた・・・
— 神谷ユウ@5/18から連載開始 (@riif1635) 2018年5月18日
「呪菓のグレーテル」やってますhttps://t.co/IYr3nnupww pic.twitter.com/Cx7eR4Rx4x
