「面白いけど続きを読むほどではない。」(by編集部)
せっかく描いた漫画がそんな評価だったら悲しいですよね。
読切や同人誌として完結しているならそれで良くても、シリーズ化したり連載企画にするには今のままでは弱い……
弱いって何??
本記事は2017年11月24日に開催した「コミティア新刊大感想会」のまとめです。
ご応募いただいた方の全15作品の魅力を解説&アドバイスしていく中で、より強い企画にする方法を探っていきます!
動画で全編視聴できます。
【動画】https://www.youtube.com/watch?v=UpkW0J7ek-o
1.伽子未来さん『私の大好きな彼らの物語』

【厳しめ希望】
まずタイトルがいいですね!
商業にしていくなら兵器に興味がない人にも引っかかるようなキャッチーなウリが必要かも。
あるいは主人公の「したいこと」を決めてドラマ性を高めていくとか。
今は感情は描けてるけど、その理由が足りないのかな。
感情をそのまま描くだけじゃなく、逆に描かないことで「今こいつどういう感情なんだろう」って興味を引かせる方法もあります。
緩急つけることで伝えたい感情がより強く伝わるのでは。
コマワリも読みやすく、面白かったです!
まさか1番最初に読んでもらえるとは思わなかった…。出張編集部行った時は画力の話しかされなくてちょっと落ち込んでたけど嬉しい…
— 未来*インフル (@mirai775) 2017年11月24日
感情の暖急とか考えたこともなかったでや…
— 未来*インフル (@mirai775) 2017年11月24日
2.アズマミドリさん『エルフさんはとにかく帰りたい』

【厳しめ希望】
連載コンペに落ちた企画を読み切りにして頒布した作品だそうです。
表紙が綺麗!
これ企画通る編集部なら通るだろ!
何言えばいいのこれ(笑)
何故企画が通らなかったのかを考えるとすると、
「続きどうなるの!?」という未来への期待やピンチ感が足りなかったのかもしれません。
途中で目線のキャラが変わって感情が明らかになるシーン、とても面白いのですが、そのせいで状況のピンチ感がなくなって読者からすると「このままでいいじゃん」となってしまいます。
読切としての満足感が高すぎて連載企画になりにくいのかも。
連載企画では「主人公のしたいこと」が明確でなければいけなくて、そしてそれは何回やっても叶わないようなものでなければいけないのです。
叶ってしまったら物語が終わってしまうので。
だからそこをもうちょっと練れば企画通るんじゃないのかな〜。
面白かったです!
長い時間お疲れ様でした。他の人の漫画も、講評もとても興味深く、楽しく見させていただきました。自分の作品にいただいた批評も、上手く活かしてなんとか企画復活させます!! #大感想会
— アズマミドリ (@midori_iroiro) 2017年11月24日
3.天野雀さん『百鬼夜行』

面白かった〜
次はどうなるんだろうって期待をさせつつ見せる見せ方めちゃ上手いですよね。
けなげな行動をしているキャラクターっていつの間にか感情移入してしまいますね。
ロジックで描ける話ではないですよね。
これはもう直せない!
【告知】出します、本。
— 天野 雀 (@b0mb00) 2017年11月18日
■コミティア122 11/23(木)
■場所 東京ビックサイト
■スペース う36a
■漫画 『百鬼夜行』
45p 1000円
■ウリ 妖怪100匹出ます。マジで#コミティア122 pic.twitter.com/ToYI1Z7bFY
4.夜田ゆらこさん『津久茂ヶ原村』

ちゃんと怖くて怪しげな雰囲気描けててとてもいいんじゃないでしょうか。
もっと「怖っ!!」って思わせるには読者の期待と予想をコントロールすることを意識するといいかも。
冒頭から「怖そう」すぎると読者が構えてしまうので読者の予想を超えるのが難しくなっちゃうんですよね。
あとは主人公の感情のリアリティを突き詰めてもいいですよね。
ストーリーの都合でつじつまの合わない感情を描いちゃうより、展開の方を強引に進めちゃう方がいいかも。
ご講評ありがとうございます。次回もしある時には、厳しさ度は煮るなり焼くなりでお願いしたいと思います。
— 夜田ゆらこ (@0nyxwings0) 2017年11月26日
5.渓山八重さん『白夜の底 盍(こう)』

「自分が本当に自分だったのか」っていう誰にでもあり得る微妙な悩みを物語にしていてとても面白いです。
えっすごくないこれ、何か言うことある?最高でしたけど?(笑)
ハッピーエンドでもなくバッドエンドでもない展開や、コマワリにも作家性がありますよね。
強いて言えばもう少し場所、時間、位置関係が分かるようなロングカットがあるといいかな。
良かったです(笑)
「白夜の底 盍」の作者です。講評して頂きありがとうございました。聞いてて泣きそうでした…とても嬉しかったです。これからも頑張ります。 #大感想会
— 八重 (@srnzr) 2017年11月24日
厳しめ評価の程度が想像がつかなくて、秒で飛ばされたらどうしよう…とビビって無にしてしまったんだけど、見てるうちに有にすればよかったかなあ…とかソワソワしてたので色々アドバイスして頂けて嬉しかった。ありがたい…描いてよかった。
— 八重 (@srnzr) 2017年11月24日
6.なおたけさん『殺し屋バニーは何者なのか』

表紙に上巻って書いてないのに「下巻に続く」て終わるという(笑)
男の子か女の子か分からない中性的な子への萌えが明確でいいですよね。
その魅力だけで1本できちゃってる。楽しい作品ですよね。
言うことはもう「後半を書いてくれ」しかない!(笑)
強いて言えば、「主人公のしたいこと」が出てくるのがちょっとだけ遅いかな。
「男か女か確かめたい!」っていうのがもっと先に出てくると「こういう話なんだな」って分かりやすいです。
殺し屋バニーはもうじっくり描き直して出そうかなぁ。時間かけたい
— なおたけ@コミティアH54a (@naotk) 2017年11月24日
7.イグリさん『シューべルティアーデ!』

ネームタンクで相談しつつ作ってきた作品がついに原稿になったんですね。
面白かったです。キャラがいいですね。
やりたいことを強引にやってるんですけどその展開がイグリさんならではの作家性になってますよね。
好きを詰め込んでるのが好感度高いし、小ネタも一々面白いです。
出張編集部で言われることっていっぱいあると思うけど、それを全部直していったらページ数膨大になっちゃいますから
まずはこのページで描ききったっていうのが大事ですよね。
主人公が主人公ならではの行動を取っているのもすごく良い。
「主人公のしたいこと」が明確でキャラが立ってます。
やっぱり作家性を押し出していくっていうのが何よりですよね。
面白かったです!
うああああああああああ☺️ いきてゆける……… #大感想会
— イグリ三等兵 (@iiiguriii) 2017年11月25日
というか他の方々の作品も見られてすごい勉強になる…… #大感想会
— イグリ三等兵 (@iiiguriii) 2017年11月25日
8.青鹿ユウさん『はれのちおもち』

いい話だった〜
「非日常の世界でも日常はある」っていうテーマがしっかりしていますよね。
最後のシーンがテーマを効果的に伝えています。
やっぱり正月はお餅だよねっていう。
キャラクターもかわいく描けています。
前半では読者はヒロインに対して「お餅とか言ってる場合じゃないだろ」ってストレスをためながら読むんですけどそれが逆に良いんですよね。
クライマックスで「俺が間違ってた……お餅だよね」ってなる。
素晴らしかったです!
お夕飯食べてたり漫画描いてたりで後でおちついて動画みるぞー✨✨と思ってたらまだやってた…!!
— 青鹿ユウ@今日から第二の患者さん発売中 (@buruban) 2017年11月24日
22時終了と聞いていたのに超過お疲れ様ですー!
ネームタンクめっちゃオススメですわよ…!
#大感想会
9.秋谷さん『bookish』

面白かった〜
好きなものを訊かれたらちゃんと時間をかけて考えるような、「こういう男いいよね」というプレゼンですよね。
ちゃんと対比ができてて、「こういう人間が良い」というのが伝わります。
演出も見事だし、感情も描けてるし、キャラクターもかわいいし、、、
これなんか言うことある? ない(笑)
最後のシーンの見せ方、もう少し工夫はできるかな。
唐突すぎるので直前にもう少し「何言うのかな?」って予想させてもいいかも。
やりすぎると次の展開が読めちゃうんですけどね。
クライマックスの演出はそこはもう好みですね。
面白かったです!
なるほどだぜ!! #大感想会
— 秋谷 (@aquivalli) 2017年11月24日
これ厳しめ希望のがたのしいかもしれないね #大感想会
— 秋谷 (@aquivalli) 2017年11月24日
自分的には「ラッピング頼んでごめんね」みたいなチマチマしたセリフ褒められるのが面白かったですね… #大感想会
— 秋谷 (@aquivalli) 2017年11月24日
10.にーづま。さん『健康オタクが恋をしたら』

【超厳しめ希望】
やろうとしてることはすごくいいんですが、超厳しめに言うってことだと、
もう少し丁寧に描くとより感情が伝わると思います。
もうちょっとそれぞれの感情を丁寧に描くと良くて、女の子のセリフとか「この子本気で言ってるんだな」っていうのがもっと伝わるといいですよね。
「幸せだ」とか感情をそのまま言葉にしちゃうと、逆に感情って伝わらないです。
本当にそう思ってんのか?って思わせないように、「本気で幸せなんだね…!」って伝わるように描きたいですよね。
そうすることによって、主人公のしたいことを読者に応援させたいんですよね。
まずは感情を表してるセリフを全部抜いてみて、どうやって表現するかって試してみてほしいです。それだけでだいぶ変わると思います。
厳しめにということで言わせてもらいましたが、やっぱり感情は妥協なく描くのが大事ですよね。
ごとう先生ありがとうございました!
— にーづま。 (@2_zuma_) 2017年11月24日
超厳しめ希望して良かったです…!!
まだまだ未熟な作品ながら、とても参考になりました(*'▽'*)
「間」とフレンズになろう。#大感想会
11.おちRさん『囲の王』

面白いなあ。詐欺師を描くってすごい。
やっぱり頭のキレる人を描くにはそれなりの演出が必要で、それに挑戦してしかもちゃんとできてるっていう。
正直これはもう充分ですよ。連載しましょうって言われてるだけあります。
あとはもうやっていく編集部でのカスタマイズの段階ですね。
強いて言えば、売れる漫画にするにはこの詐欺師の彼の魅力が大事になってくるんですけど、詐欺師として、クロサギとかカイジとかにも負けない強い主人公にするには、「頭のキレるやつ」ってだけじゃない、何かもう一つ「こいつはこういうやつなんだ」って象徴するようなものがほしいんですよね。
ぜひ考えてみてほしいです。
ありがとうございました!!凄く勉強になりました!!#大感想会
— おちR@新刊メロンブックス様委託中 (@ochi_r_) 2017年11月24日
12.世鳥アスカさん『Alaska Journal』

こういう旅行グッズを持ってくんだね、旅の勉強になるね〜。
楽しく旅行気分が味わえましたね。
エッセイ的なものはね、作り方が違うんですよね。
すみませんアドバイスとかはもうわかんないです(笑)
いやこういうのって面白いですよね。
真剣なストーリー漫画が多い中困らせてしまい失礼しました~息抜きにでも、と思って送りましたが困惑させて終わってしまいました…チーン
— 世鳥アスカ (@setori_aska) 2017年11月24日
13.あやめゴン太さん『アイドル・エール』

表紙がいいですよね(笑)
面白かった!
忍者とアイドルファンって相性いいですよね。いい企画。
キャラクターを応援したくなるし、不穏な展開になった時の感情や次の行動がめっちゃ気になりますよね。
女の子もかわいいし。成長譚なのもいい。
アイドル好きなのも伝わるし、やっぱり萌え重視でやるのがいいなと思いました。
#大感想会 で読んでもらった「アイドルエール」のフミカたち ひとりで描いているときはどんどんネガティブ思考になって原稿後半はひたすら辛かったけど、こうして形になって読まれて更に感想を、それも「面白かった」と言われて全部救われました pic.twitter.com/5QJhaopDkj
— あやめゴン太 (@aya_gon) 2017年11月25日
14.いぬパパさん『ハイテンションハンドボールラバーズ』

厳しめ希望
非常によかったです!
強引さがまた面白いですよね。
厳しめ希望ってことですけど、良い企画ですよね。
ただ、続きを見たいと思わせるには、やっぱり主人公の目的を作る必要がありますよね。
読者が応援したくなるような。
そういう方向性ではなくコメディとして見せていくなら、「もっとずっとこいつら見ていたいな」っていう関係性とかを工夫していきたいですね。
自分の萌えを突き詰めてほしい。
何か、続けていくための売りがもう一つあると良いです。
ごとう先生お疲れ様でした!読んでいただきありがとうございます!
— いぬパパ (@inupapa1979) 2017年11月24日
自分の描いた漫画を面白がってくれるってやっぱ嬉しいですね。仕事になるとか、お金になるとかじゃなくても、漫画が描けるって素敵だと、改めて思いました。 https://t.co/ghkq7AQ0K1
15.いわさきふみさん『放たれた矢は戻らない(神様の庭で)』

面白かった!
感情を丁寧に描けてるし、絵も美しい。
嫌なやつを嫌に描けるのもすごいよね。
馬との神聖な空気も効果的に表現できてる。
凛とした女の子を描けるのが強みですよね。
感情の積み重ねが上手いんだけど、物語の構造の部分をもっと強くすることもできるのかな。
クライマックスでの成長の説得力を持たせられる根拠を前半に描くとか、物語の構造をしっかり作れるともっと良くなるかもしれない。
スペースにおります! pic.twitter.com/mB3QNxuEU5
— いわさき (@iwawaw) 2017年11月23日
まとめ
いかがでしたか?
ほとんど直す所がないような傑作揃いでしたが、「商業でも通用する連載企画にするには」という視点ではいくつか共通する指摘がありました。
「主人公のしたいこと」を作る。
連載企画では「主人公のしたいこと」が明確でなければいけなくて、そしてそれはずっと続いてもなかなか叶わないようなものでなければいけません。
叶ってしまったら物語が終わってしまうので。
また続きを見たいと思わせるには、主人公の目的・目標を作る必要がありますよね。
読者が応援したくなるような。
「主人公のしたいこと」が連載においては企画の推進力になります。
「読者が応援したくなるような」「達成が困難な」目的さえ設定できれば、企画はできたも同然です。
あなたの作品の主人公には「したいこと」がありますか?
「これでいいのかな……」「どうやって考えたらいいか分からない……」という方は、東京ネームタンクの「ネームできる講座」がおすすめです。
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