2020年夏開催の「まんが奨励会 プロ養成ネーム合宿」にレポート枠参加してくださったネームタンク受講者のみなみ天音さん。合宿に参加して得た気づきを記事にしていただきました!
みなさん、こんにちは。みなみ天音と申します。
小学生以来、ほとんど絵も漫画も描いたことがない所から、突如「プロになりたい」と思い立ち、30を過ぎてから描き始めた者です。
霊能アクションものや、それに絡んだラブコメ等を描かせていただいております。
今年の3月からネームタンクさんにお世話になり、現在では「まんが奨励会」での各種企画でも大変お世話になっております。
さて、今回私がお伝えしたいのが、
東京ネームタンクの「まんが奨励会 プロ養成ネーム合宿」がスゴすぎた…!!という事でございます!!
何がすごいって……ただ、ネームを描くだけじゃないんです。
それぞれの「描きたい」という気持ちを最大限大切にしながらも、
「どうすればプロとして通用する作品になっていくのか」を、皆で考えながらブラッシュアップしていける合宿…!!
さらには、その過程を経て
・他の方の気付きが自分の気付きにも繋がる
↓
・自分の視野が広がり、「作品を見る目」が格段にレベルアップされていく!!
という循環まで起こり、とにかく作品も自分もレベルアップを大いに実感できる合宿でした!!
■合宿の前から、合宿は始まっていた…!!
今回面白かったのが、合宿が始まる一週間前に、オンラインで「決起会」なるものを行っていた、という事。
ここで、各自10個の企画を持ち寄り、お互いにお気に入りの企画に★を付けたり感想を書き合ったりしながら、
・どの企画のウケがいいのか
・自分の描きたいものが伝わる企画の出し方になっているかどうか
などをしっかり事前に確認して詰めた上で合宿に臨めたので、合宿開始時にはすぐにネームに取り掛かれる状態になっていました!!
決起会から合宿開始までの間に、参加者の間で企画を共有しながら質問等し合ったりできたのも本当に本当に助かりました!!
いつも優しさのカタマリであるごとう先生からのガチアドバイスが聞けたのも、とても貴重で有難い体験でした…!!
■ネーム描き→グループワークのサイクルで、気づきを即反映できる!
実際の合宿でのワークは、
30分ネームを描いたら、すぐに少人数のグループワークに移り、それまでに描いたネームを見せ合いながら
・読んだ方からの感想やフィードバックを受け取る
・自分の演出意図が伝わっているのかの確認
・悩んでいる部分についての相談
……等をする、そしてまた30分ネームを描くという、ネーム→相談→ネーム…の流れになっていました!
これがもう、本当に有難くって有難くって…!!
私の場合、あちこち固まっていない状態だったこともあり、色んな部分でまぁ~~悩むわ詰まるわ!!だったので、描き進めながらフィードバックを受けて、それをすぐに反映させる事が出来たのは本当に有難かったです!!
自分では気付けなかった点を指摘して頂けたのも、本当に勉強になりました。
通常の自分だったら
「一週間後に気付けたであろうこと(もしくは気付けないままだったこと)」を、
「30分後に気付けて即反映できる」という、素晴らしすぎるサイクルの中での作業でした!
今回、本当に様々な作風の方がいらっしゃったのですが、どの方もそれぞれ違った魅力を持ってらして、どの作品も愛おしくって愛おしくって…!!
それを作り始めの時から見ていくので、作品がブラッシュアップされていく過程を共有できるのがすんごく勉強になりました。
「ここのセリフ、うんと良くなった!!」
「テンポ感、これこれ!」
「キャラの感情、うんと伝わってくるっ!!」
……と、他の皆様の気付きがそのまんま自分の気付きとしても反映されるので、そういう意味でも気付きが何倍にもなり、とにかく得られる経験値の量が半端なかったです!!
「いい所を伝えあおう!そして自分の強みを把握しよう!!」という所もごとう先生が強く仰っていた部分。私の作品も、皆様がたくさん褒めて下さいました!
「自分では分かっていなかった強み」が分かる、というのはとても嬉しいですし、「どこを押し出して行けば自分らしさが光るのか」が分かる、というのはプロとして戦略を立てていく上で非常~~~に心強い武器を得る事に繋がるなぁ!!と実感しました!!
ネームタンクの良さである「お互いの作品や萌えを全力で肯定し合う」部分と、「より良くしていく為の視点の共有」…。 これらを同時に行うことで、
ものすごく楽しく、
ものすごく学べて、
ものすごく絆が深まる……
そういった素晴らしい空間だったと思います。ビバ! プロ養成ネーム
合宿!!!
最後のグループワークの時、初日の一番最初に組んだメンバーと再度組んだのですが、みなさん初日からは想像もつかない位、ものすごく進んでいるわ面白くなっているわ殻を破っているわで、思わず感動で涙ぐんでしまいました…!!
他の方の作品を、企画の段階から知っている状態で、それがリアルタイムで出来上がっていく様を見ていくのは、本当に何とも言えない感動体験でした!!
■殻を破る……「興味型」と「共感型」を突き詰めろ!!
今回、私自身もたくさんの殻を破らせて頂きまして…!!
・悩んでいてもとにかくどんどん形にしていく事の大切さ
・苦手な「(起承転結の)承」を突き詰める時の考え方
・ネガティブ主人公の「応援したくなる『したいこと』設定」のポイント
等々……本当にたくさんの事を学ばせて頂きました!
その中でも、多くの方に共通するであろうつまずきポイントの一つを、今回ごとう先生にしっかり教えて頂きましたので、ご紹介したいと思います!!
それが
「興味型」か「共感型」かを、しっかり意識して描く、
ということ…!!
私、一つ勘違いしていたのですよ…!!
「興味型」というのは、浦沢直樹作品に代表されるような、
主人公はハードボイルドで、何考えているかわかんなくて、モノローグも基本的にない……
そういった作品の事を指すのかと思っていたのですが、
大事なのはそこじゃなかったんです!!
モノローグのありなしとかじゃなかったんですよ!!
大切なのは、
主人公に「感情移入」させたいのか(共感)、
主人公を「眺め」させたいのか(興味)…!!
そして、この「眺めさせたい」には、
「このキャラ、可愛いっ!!」っていう、「萌え」の気持ちも含まれる、という事…!!
どうも、カッコイイヒーローものばかりをこの「興味型」に据えて考えてしまっていましたが、少年漫画だろうが少女漫画だろうが、クール系イケメンだろうが可愛い女子だろうがはたまた可愛らしいリアクションの男の子だろうが……
「この人、カッコイイよね?!」
「このコめっちゃくちゃ可愛いと思わない?!」
と思わせたい(萌えの気持ちを引き出したい)演出なのであれば、それは「興味型」になるのです…!!!
……いえ。言い方を変えましょう。
そのキャラに「感情移入」させたいのか(共感型)、
「カッコイイ! 可愛い!!」と思って眺めさせたいのか(興味型)。
そこの意図をまず自分が持たないと、なんとも中途半端でふわっとした演出になってしまい、伝えたいものが伝わらないネームになってしまうんですよ!!T▽T
具体的に見て頂きましょう!! 今回、私が描いたネームのある1ページです。
給食のデザート(ケーキ?)か何か、バラバラなものを、クラスの皆で順番に選ばなくちゃいけない…みたいなシチュエーションです。
主人公くんは、皆の為を思うがゆえに悩み過ぎてなかなか選べない…というシーンですね。
このシーンをご覧になって、ごとう先生が
「この主人公の彼に感情移入させたいのか、眺めさせたいのかの意図が伝わってきづらいので、もう少し意識した演出にするといいと思います」
と言って下さって、なんと、
両方の演出パターン例を描いて下さったのです!!
それがこちら!!
【共感型の演出】
セリフやモノローグは変更前のページと同じですが、主人公の「感情=どのケーキを選ぶのがベストなのか、真剣に悩んでいる」に寄り添った描き方になっていると思います。真剣な表情で真剣な感情を見せるため、アップが多め。
【興味型の演出】
主人公が「悩んでいる様」を面白かわいく見せたいという意図が伝わる描き方になっているかと思います! 共感型よりも引き気味のアングルになっています。
【ごとう先生のコメント】
この考え過ぎる男の子を共感させるのか、眺めさせるのかを決めたい。
眺めさせる方法で描くのであれば、自分の萌えポイントをしっかり入れる。
例えば、可愛いと眺めるような作品は、「考え過ぎてるこの子が可愛い!!」みたいな形にする。
共感(感情移入)の方法で描くのであれば、読者に「わかる!」と思わせることが大事。
目線を合わせたり、アップなどを入れる事で心情が伝わりやすくなる。
現状の描き方だと、眺めさせる形を取っているように思える。
背中からのショットなどは、そのキャラからは見えない視点となり、主観的にならないため、眺めるタイプの作品のコマワリになりやすい。
とのこと…!!!
なるほどなぁ~…と感激してしまいました!!
私の場合、どっちつかずでありながらも、少し「興味型(眺める)」の描き方寄りとのことなので、その後の作業はひたすらこの「可愛い!!と思わせる」事に重点を置いて描き進めていきました。
お陰様で、読みやすいものに変わっていったのではないかなぁ…?と思っております…!
ごとう先生、本当に本当にありがとうございました!!!
この「興味型」「共感型」の演出の違いは、コメディタッチで描きたいのにシリアスすぎてしまって困っていた時も非常~~に助けられました!!
……こういう、回想から始まる導入を「共感」寄りに描いたところ、それはそれは重苦しい雰囲気になってしまい困っていたのですが、
これを「興味」寄りの演出に変えて、主人公の男の子の「可愛さ」を前面に押し出すように変えたところ…
セリフやシチュエーション等、ほとんど変えていないのに、ぐっと軽いテイストに。
この後のシーンを軽やかに描きたい私としては、大変助けられました…!!!
このように、「興味」で描く演出方法と「共感」で描く演出方法、どちらの引き出しも持ちつつ、意識して使い分けることが出来れば、作品を魅力的に出来る上、空気感すらも自在に操ることが出来るようになるのでは…!!という、大変大きな気付きを頂きました!!
(最初に興味型ではじめて、クライマックスのシーンで共感型の演出に変えてぐっとシリアスに…という方法もアリだそうですよ!!)
改めて、ごとう先生はじめ、講師の皆様・合宿に参加されたすべての皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。
コロナ禍である中、様々な部分で細やかな配慮もして頂き、そちらに関しても本当に感謝致しております。
皆様、本当に本当にありがとうございました!!
来年の合宿もぜひとも参加させて頂きたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願い致します!!
「合宿、いいなぁ…」と思われたそこのアナタ!!
2021年夏、千葉の太海で(会場に変更がなければ)ともにお会い致しましょう!!

みなみ天音 icon-twitter
36歳主婦です★漫画家目指して奮闘中!フルタイムのお仕事を辞めて、在宅アシスタント始めました!7歳と3歳の息子の子育てにも奮闘中! 漫活ブログ書いてます★面白くってお役立ちなブログと言って頂けてます(*´꒳`*)覗いてみてね(*^^*) 無言フォロー歓迎!私もします(笑)