ネームタンク受講生で、白泉社LaLaでデビューし活躍中の新人漫画家春原まい先生に、漫画の作り方やデビューまでの経緯についてお話を伺ってみました。
キャラクター作りのアツいこだわりは必見です!
「もし友達にいたとしたらめんどくさいな」という個性を考える
──読み切り掲載おめでとうございます!新作読み切りはどんなお話ですか?
春原:西洋風ファンタジーで、政略結婚させられた主人公が祖国の命令を全うしようとするも結婚相手のハッピーナルシスト王子に翻弄されるラブコメです。
──ハッピーナルシスト王子面白そうです!(笑)
今回のお話はどのようにして思いつきましたか?
春原:自分の萌えの中からキャラを考え、そこから話を考えました。
今回の読切だと「ナルシスト萌え」からです。前回は明るいストーカー、前々回は自分のかわいさを信じて疑わない女の子でした。
でも、自分の萌えから考えるとテンプレ的になり物足りなくなってしまうことが多いです。
オタクなので「こういうキャラはこう!」というテンプレを当てはめてしまっていたのもあると思います。
もともとストーリーの設定を先に考えるタイプだったので自分にとってキャラ作りが課題でした…。
──「テンプレ的になる」分かります…どのようにしてテンプレ的なキャラクター作りから脱したのでしょうか。
春原:ネームタンクの講座をきっかけに、キャラを表面的な要素(身長・血液型・趣味…など)で構成してもいまいちうまくいかなかった原因がわかりました。
そこから、テンプレのナルシストはここまでやらないかなというところまで考えました。
今回だと「ナルシスト=鏡をよく見る」というイメージから「鏡を見ると力がわく」→「薔薇を美しく育てるために薔薇にも鏡を見せる」という感じです。
それに加えて「友達にほしい」と思えるような台詞選びを心がけました。
キャラクターを作る時に意識しているのは、「もし友達にいたとしたらめんどくさいな」という個性を考えることです。
読んだあとに「友達になりたい」と思ってもらえれば良いなと思いながら固めていきます。
なので(?)、ネガティブなキャラよりもポジティブなキャラを作りがちです。
主人公と相手役両方に揺るがない信念を持たせる
──なるほど…!キャラクターからお話を作っていく際はどのようなことを意識していましたか?
春原:読切漫画ってメインの登場人物が二人だと思うんですが、片方のキャラを濃くしてしまうと一方がそのキャラにリアクションするだけのキャラになりがちになるのが悩みでした。
ネームタンクで、主人公と相手役両方に「◯◯がしたい」という揺るがない信念を持たせることが大切だと学んだことで、どう解決すればいいか分かりました!
当たり前のことだとは思うのですが、それまではいまいち実践できていませんでした…。
「キャラが弱い」とか「二人に壁をつくる」と言われる意味をより深く理解できました。
キャラから作るようにしだしたら、「設定の割りにやってることが地味」と言われがちだったストーリー作りの課題点も、だんだん解決されるようになった気がします。
ネームはなるべく派手に(予想外の展開に、絵で映えるように)しようと心がけてます。
コマを割りすぎず、文字を少なく、絵でわかりやすくしたいです。
頭を使わずさらっと読めて面白いまんがを目指してます。
──目標とする漫画や、影響を受けた漫画はありますか?
春原:この前東西さんの漫画占いを受けたときに考え直したんですが、「こどものおもちゃ」だと思います。
重いテーマを扱いながらもギャグが散りばめられていて読み進められるし、キャラが全員魅力的な作品です。
絵が少女漫画っぽいしりぼんっ子だった流れでずっと少女漫画を描いてますが、少年漫画や男性向けやBLや百合なども好きなので少女漫画を読まない層の方にも読んでもらえるような漫画が描きたいです。
聞かれてませんがアニメならプリティーリズムシリーズです。
右も左もわからないまま16ページの作品を完成させ続けた
──漫画はいつから描かれていますか?
漫画家を目指したきっかけがあれば教えてください。
春原:物心ついたころから将来の夢が漫画家でした。
原稿用紙にはじめて描いたのは小学4年生くらいだったかと…そのころから急激に視力が落ちました。
──デビューまでの経緯を教えてください。
春原:漫画家になれるとは思わず、事務職をしながらなんとなく描きたい波が来たら描いて投稿していましたが、別の趣味が仕事的になってきて…。
「本当にやりたいことは?」と考えたときに「漫画が描きたい」と思い、本格的に投稿をはじめました。
2年くらい白泉社LaLaの月例賞や年3回の大型賞に2~3か月に1本くらいのペースで投稿を続けていました。
子供のころから「クラスで絵がうまい人」タイプでずっと絵を描くのは好きだったので、デビューを目指すにあたり絵よりもお話作りで苦戦しました。今でも苦手です…。
最終選考まで残った作品で担当さんについてもらい、その次の回で受賞しデビューしました。
まだデビューが決まってない時に、白泉社少女漫画全体の賞の方にも担当さんと作った話を出していてそちらでも受賞できたので、同期がちょっと多いです。
──お仕事もされながら2~3か月に1本の投稿を2年続けたんですね…!
なぜそこまで頑張れたのですか?
春原:わたしは何かやりながらもうひとつのことをやる方がエンジンがかかりやすいみたいです!
限られた時間で右も左もわからないまま16ページの作品を完成させ続けたことで、だんだん読切の作り方がわかったのでよかったです。
仕事やめて漫画だけだったら挫折してたかもしれません。
逃げ場(居場所)を常に複数持って無意識のうちに心に余裕を作っているのかも…。
──最後に漫画家志望者の方へ、モチベーションが高まるようなメッセージをお願いします!
春原:これは友人に言われて気付いたんですが、そもそもまっしろなページを漫画にできるってすごいことだと思います!
自分の漫画つまらない、絵がへたと思ったら1回これでテンションあげてみてほしい…!
それと私は「少女漫画はこう」的な決めつけで自分の漫画をつまらなくしていた時期があったので、投稿する雑誌のカラーに合わせるのも大事だとは思いますが、好きなもの、萌えるものを描くのがおすすめです。
好きなものを好きっていう感情って意外と人によって違うので、作者の個性を出していってほしいです。
オタクとして生きていると、日常生活で好きなものを隠すくせがついてしまいがちですが、ぜひ漫画でさらけ出してほしい…!
そんな漫画を読みたいです。偉そうにすみません…!
──春原先生ありがとうございました!!

春原まいicon-twitter
すのはらと読みます。漫画描く女児。
pixiv
春原先生の新作読み切りは2018年12月10日発売のLaLaDXに掲載!
「テンプレを超えたナルシスト」って一体どんな感じなのか、ぜひ読んで確かめてみてくださいね!
本日(12月10日)発売のLaLaDX1月号に読切「剣先からロマンス」掲載中です!よろしくお願いいたします✨ pic.twitter.com/MMy9XtYuSG
— すのはら@LaLaDX読切掲載/2日目東ソ26b (@sunoharamai) 2018年12月10日